新型コロナウイルスの大流行で世界中が緊迫した状況にある現在、多くの企業が想像力と生産力を総動員し、ウイルスとの闘いに力を注いでいます。業界や国を超えたこの闘いにおいて、パンデミックを収束させるための鍵となる治療薬やワクチンを開発できる可能性のある製薬企業やバイオテクノロジー企業が担う役割は非常に大きなものであるということができます。
現在のCOVID-19に対するワクチン開発の動向に加え、以前の感染症の流行時と比べてテクノロジーの進化がもたらした変化について、以下で紹介します。
ワクチン開発の現状
世界保健機関(WHO)によると、現在世界で70を超える組織がCOVID-19のワクチン開発に取り組んでいます。中国のカンシノ・バイオロジクスと北京バイオテクノロジー研究所の共同開発、アメリカのモデルナ、ファイザーとドイツのビオンテックの共同開発、イギリスのオックスフォード大学によるものなど、すでに臨床検査段階に入っているワクチンも見られ、早ければ今年秋には医療従事者などへの供給を開始できる可能性があります。
他にもサノフィとグラクソ・スミソクライン(GSK)の共同プロジェクトやジョンソン・エンド・ジョンソンなど、世界的大手企業もワクチン開発に乗り出しており、パンデミック収束のための解決策を見つけるために力を尽くしています。
日本国内では、アンジェスと大阪大学が共同開発を手掛けたDNAワクチンが7月をめどにヒトでの臨床試験を開始するほか、シオノギ製薬や田辺三菱製薬もワクチン開発に乗り出しています。
技術の進歩でワクチン開発の時間短縮
バイオテクノロジーイノベーション協会のレポートによると、ウイルスのゲノム情報が判明してからヒトでの臨床試験開始までの期間は、2003年のSARS流行時には20ヶ月、2009年の新型インフルエンザでは5ヶ月、そして今回の新型コロナウイルスではわずか2ヶ月弱と、年々短くなっています。また、そもそものゲノム情報の解明においても、SARSの流行時には数ヶ月を要しましたが、今回は1ヶ月で達成されています。テクノロジーの進歩、また最先端のバイオテクノロジーによってワクチンの種類や開発方法にも様々な選択肢が生まれ、今回の危機に対しても従来よりも迅速な対応が可能となっています。
医療におけるAIの活用は、現在でも画像データ、テキストデータ、バイオデータなど様々な分野で進んでいますが、ワクチン開発や創薬、また既存の薬のCOVID-19への応用を評価する上でも欠かせない手段となっています。
国内の事例では、NECが先日自社のAIの予測技術を活用し、ワクチンのターゲットとして適したアミノ酸配列を複数選別する技術を発表しました。また、先述のアンジェスと大阪大学による共同開発にも、AIを用いたコンサルティングサービスを展開するフューチャー社の参画が発表されています。
治療薬の開発においてもAIの活用が進んでおり、Insilico Medicineは、COVID-19の治療薬となりうる数千の薬の分子をわずか4日で特定しました。この情報は公開されており、世界中の研究者が無料で利用できるようになっています。
また、業界の垣根を超えて、GoogleやApple、IT企業の数々もパンデミックとの闘いに力を尽くしています。詳しくはこちらの記事でまとめています。
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